mushroom on the poolside

女の子はお砂糖とスパイスでできてない 

なくしもの

f:id:mushlee:20141009102628j:plain

 

よく、なくしものをする。

お気に入りほどよく なくす。

 

 

小さい頃、「健康ランド」でじいちゃんに買ってもらった 大衆浴場とは全く無縁の

ピンクの蝶々のブローチとか

 

BEAMSに行くたびに(いいなぁ。欲しいなぁ)と眺め続けていたら

プライズプレゼントしてくれたブレスレットとか

 

地元にあった行きつけの民族雑貨屋が閉店するからと、安くしてもらって買った無骨な緑の石の指輪とか・・・

 

裾がダメージ加工になっているヘビロテのダークグレーのTシャツとか

 

 

特に小さい頃は、お気に入りを使わずにしまっておく子供だった。

使って汚れたり、なくしたりするのが嫌だったから。

箱からそぉーっと出して眺めたり、たまに着けてみたり、

うっとりし、満足したらまたもとの箱に戻すのだ。

鍵はかけずにしまっておく。

 

宝箱の鍵 を見つからない場所に隠すんだけど、自分でもその場所がわからなくなって

鍵をいつも  なくしてしまうから。

 

小学校 4年生のとき、じいちゃんに赤いベロアのショートブーツを買ってもらった。

4つ穴の編み上げで、裏地はベージュのチェック柄、靴底はベージュのゴムで出来ている。サイズは大きめの20センチ。

店員さんに箱に詰めてもらい、じいちゃんに満面の笑みで「ありがとう」と100回くらいお礼を言い、上機嫌で家に持って帰り、瞬時に装着し、両親に見せびらかし、「似合うよ。」「可愛いね。」「よかったね。」と散々褒め称えて頂き。

満足した私はその赤い靴を例のごとくさっさと箱にしまった。

毎晩 箱から出して眺めた。 

母親に「使わんのやったら、もう買ってあげんよ。」と説得された挙句

数回は、泣く泣くお気に入りの赤い靴を外に履いて出かけた。

 

水たまりはないか、ガムを踏んづけてはいないか・・・・

  

中学生になったある日、母親が靴箱の整理をしていて、私はお気に入りの赤い靴をもう履けなくなってしまったことに気づく。

私の今の足のサイズは21.5センチだ。

たった1.5センチ・・・

あまり履いていない新品同様の赤い靴は、これ以上汚れることはないけれど、

履いて出かけることもできないのだと、申し訳ない気持ちになった。

 

その日から、お気に入りを箱に閉じ込めておくのをやめた。

白いワンピースは買った次の日ににチョコレートアイスで汚した。

ビーズのブレスレットはもらった日からずっと付けていたから、切れてバラバラになった。

ナイキのエアフォースでは初日に犬の糞を踏んで滑ったし、

箱から出した ピンクの蝶々のブローチは1ヶ月後に カバンから消えていた。

 

民族雑貨屋の店長に「よく物をなくす」と言ったら

「今は必要なくなったから手元から離れているだけで、いつか必要になったら

全く同じ形ではないかもしれないけれど 必ず自分の元に戻ってくるよ」と言われた。

 

なんと スピリチュアリティに満ち溢れた 超絶都合のいいポジティブな回答か!!

と思うと同時にホッとし、納得してしまった事実も否めない。

 

ピンクの蝶々のブローチだけは、箱から出さなければよかった と思うけれど、

もし箱にしまったまま、なくしていなかったら じいちゃんと健康ランドに行った日のことを思い出す回数は今よりも格段に少なかったんじゃないだろうか?

とも思うのだ。

 

でも、やっぱり好きなものや、思い入れのあるものを失うのは嫌だから

いっぱい使って、大事にしようと思う。

 

でも、大事にしていても気づいたらなくなってるから・・・

結局 どうすればなくならないの?