あまい
早朝5時
車なんて1台も走っていない交差点で
信号が青に変わるのを待っている間に気が変わった
左折するのをやめ 海へと続く道を真っ直ぐに進む
清々しい爽やかな朝のはずなのに
なんだか 心はもやっとしている
嫌なことがあったとか誰かのせいじゃない
わかっている
突き当りの防波堤を右折する
まだ 海は見えない
前方に続く高いコンクリートの急斜面には 気まぐれに梯子が立てかけてある
太いロープも垂れ下がっているけれど いったい何で固定してあるのだろうか?
もう 防波堤をよじ登って 手っ取り早く海を見て帰ろうかとも思ったけれど
釣りをしているおっちゃんとそれをじっと見守るワンコの後ろ姿がなんか良くて
そのままでいて欲しかったから海岸まで行くことにした
車を止めドアを開ける
ひんやりとした空気に混じって潮の匂いがする
そのままザクザクと砂浜を進み裸足で海に入った
冷たい
少し明るい藍色の空と群青色の海との堺に太陽がよくわからない色にぺかぺかと輝いて両方に混ざっていた
ほうっーとため息を吐き出したらポロポロとこぼれた涙が海に混ざってあぁそういえば、涙も海水も塩水だよなぁという無意味な思考が私の脳の大部分を占領する
バカバカしい程に神々しさを主張しまくっている太陽が眩しかったからか、海の水が冷たかったからか、何を青春漫画みたいな事をしているのだ私!と恥ずかしくなったからか、1人ぼっちだったからか・・・よくわからなかったけれどすごく、すごく
くやしいって感情が強かったと思う
私は泣き虫で弱い
ひねくれているし 強がっている
態度はでかいくせに 気は小さい
誰かに甘えたいし バレバレの誘惑にもわざと乗っかっちゃいたい
一人でできることなんて数える程しかないから誰かに助けてもらいたい
うまくいかないことを誰かのせいにしたり
仕方ないからなかったことにして誤魔化してみたり
他人が持っているモノをその背景も知らず羨ましいと妬んだり
悪い夢をリピートで見続けているみたいな
見え透いたあまい言葉に期待してしまう気持ち
傷を舐め合うぬるい環境は心地いいから進まなきゃいけないのに抜け出せない
結局のところ自分でどうにかしようとしなきゃ何も始まらないのにね
寒い
裸足のまま車に乗り込み 行きと同じ道を戻る
帰りの車線からは 防波堤と空の隙間に少しだけキラキラと光る海が見えた
防波堤に垂れ下がったロープの根元の秘密が気になったけれど
今はまだ 秘密のままとっておくことにした
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あまいという曲名は
ドラムのフジが適当につけてくれたものだけれど すごく気に入っている
メロディーは明るいから前向きな歌に聞こえるけれど
海からの帰り道に作ったから暗い曲かもしれない(笑)
昨日また心がモヤモヤして やらなければならないことがたくさんあるのに
全然進まなくって 適当に誤魔化してしまいそうな自分がいて
あぁ、あの時もこんな感じだったなぁって唐突に思い出したので
今日は 過去日記を書いてみた
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mushlee HP